特集 糖尿病治療薬の最前線 ~臨床試験・臨床疫学的観点も含めて~
11.糖尿病における降圧治療とその成績
猪阪善隆
1
,
楽木宏実
2
1大阪大学大学院医学系研究科老年・腎臓内科学 准教授
2大阪大学大学院医学系研究科老年・腎臓内科学 教授
pp.2407-2418
発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201310119
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高血圧を合併する糖尿病患者の治療目的は,慢性腎臓病(CKD)の進展を抑制するとともに,心血管病(CVD)の発症や再発を予防することにある。蛋白尿を呈する糖尿病性腎症の患者や脳卒中リスクの高い患者であれば,130/80mmHg未満への降圧が有効であるが,動脈硬化病変が強い患者では過度の降圧による臓器虚血に注意した慎重な降圧が必要である。多くの臨床試験で,レニン・アンジオテンシン系(RAS)抑制薬の有用性が示されており,CKDやCVDの進展にRASが中核的な役割を果たしていることを考慮すると,RAS抑制薬が第1選択薬となる。1種類の薬剤で適切な目標血圧に到達できることは少なく,患者の病態に応じて第2選択薬を併用する必要がある。