特集 糖尿病治療薬の最前線 ~臨床試験・臨床疫学的観点も含めて~
6.DPP-4阻害薬,GLP-1受容体作動薬:治療成績と今後の展望
矢部大介
1
1関西電力病院糖尿病・代謝・内分泌センター・部長/疾患栄養治療センター・センター長
pp.2377-2381
発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201310089
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インクレチンに基づく薬物療法(DPP-4阻害薬,GLP-1受容体作動薬)は,国内外の糖尿病診療を大きく変革しつつある。血糖依存的にインスリン分泌を促進し,かつ,グルカゴン分泌を抑制する作用機序は,他の糖尿病薬に例がない。単独で用いた場合,低血糖リスクが少なく,体重増加をきたしにくい(GLP-1受容体作動薬では体重減少が期待できる)ことから,上市後わずか3年間で,わが国の治療中の糖尿病患者の半数を超える300万人近くに使用されている。さらに,インスリン初期分泌不全を主体とする日本人やアジア人では,他民族と比して,インクレチン関連薬が奏効することも示されている。本稿では,日本人2型糖尿病の病態からインクレチン関連薬のポジショニングを再考するとともに,インクレチン関連薬の血糖改善効果を長期持続させる方略について議論したい。