特集 糖尿病治療薬の最前線 ~臨床試験・臨床疫学的観点も含めて~
7.SGLT2阻害薬の作用機序と治療への展望
浅野知一郎
2
,
大久保博史
1
,
中津祐介
1
1広島大学大学院医歯薬保健学研究院医化学教室
2広島大学大学院医歯薬保健学研究院医化学教室 教授
pp.2382-2387
発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201310094
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糖尿病はインスリン作用の不足によって生じる慢性的な高血糖状態である。まもなく,複数の製薬会社から,新規の糖尿病治療薬としてSGLT(sodium glucose cotransporter)2阻害薬が認可,販売される予定である。SGLT2阻害薬は,腎尿細管におけるグルコース再吸収を抑制することで尿糖閾値を下げ,グルコースを尿中へ排泄させる。これによって即効性の血糖是正をもたらす一方,低血糖はきたしにくいという長所がある。また長期的に使用した場合には,糖毒性に起因するインスリン抵抗性とインスリン分泌不全を改善させる効果が期待できる。さらに,摂取カロリーを体外に排泄するため,肥満患者にとっては減量効果も発揮される。高血糖,肥満やインスリン抵抗性など複数の要因が改善されることで,血管合併症への効果も今後証明されていく可能性が高い。