糖尿病治療のパラダイムシフト インクレチン関連薬に関する疑問に答える
DPP-4阻害薬,GLP-1受容体作動薬の安全性と懸念されている問題点
矢部 大介
1
,
清野 裕
1関西電力病院 糖尿病代謝内分泌センター
キーワード:
Insulin
,
Sulfonylurea Compounds
,
多剤併用療法
,
低血糖症
,
糖尿病-2型
,
副作用情報収集システム
,
Dipeptidyl-Peptidase IV Inhibitors
,
Glucagon-Like Peptide 1 Receptor Agonist
Keyword:
Diabetes Mellitus, Type 2
,
Drug Therapy, Combination
,
Insulin
,
Hypoglycemia
,
Sulfonylurea Compounds
,
Adverse Drug Reaction Reporting Systems
,
Dipeptidyl-Peptidase IV Inhibitors
pp.97-100
発行日 2014年1月1日
Published Date 2014/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2014057545
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臨床試験のメタ解析からインクレチン関連薬(DPP-4阻害薬,GLP-1受容体作動薬)と因果関係を明らかにされた重篤な副作用はない.インクレチン関連薬とSU薬との併用では,recommendationに従い,年齢や腎機能に応じてSU薬減量が望ましい.インスリンからGLP-1受容体作動薬への切り替えはインスリン依存状態の鑑別を含め判断が困難な場合が多く,糖尿病専門医へのコンサルテーションが望ましい.米国糖尿病協会,欧州糖尿病学会,国際糖尿病連合は合同声明として,一部グループが指摘するインクレチン関連薬と膵炎や膵がんの関連について,推奨事項を修正するには情報が不十分という見解を発表している.重篤な副作用について因果関係を明確にされたものはないが,膵炎や腸閉塞,間質性肺炎に加え現在報告されていない未知の副作用の可能性について,注意深い観察が今後も必要である.
©Nankodo Co., Ltd., 2014