医薬ジャーナル論壇
消費社会の功罪と医療資源の位置づけ
佐々木均
1
1長崎大学病院薬剤部・教授/薬剤部長
pp.2311-2313
発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201310023
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現代社会を特徴づける概念の一つに「消費社会」がある。これは消費が広い範囲で行われている社会のことで,さまざまなものが消費の対象となる。消費による経済発展は,人や国を豊かにするとともに,経済規模を増大させることにより,公平な競争の中で人の欲望を満足させる。しかし,消費者が消費に追われ続けることにより,有限の資源が大量消費され,大量廃棄される。また国内では,消費者間の貧富の格差が広がっている。当然のことながら医療の世界も無関係ではいられず,「医療消費者」である患者から選別される対象になった。その結果,選択や選別の過程により,医療の品質管理と安全管理が推進され,顧客満足度は向上した。一方,医療を消費財とする国民の過度の行為は,医療崩壊も招きかねない。今後,医療を消費財とするかニーズとするか,国民の選択が求められている。