特集1 ワクチン療法の最新事情
5.百日咳予防のための成人ワクチン
森川和彦
1
,
堀越裕歩
2
1東京都立小児総合医療センター臨床研究支援センター
2 同 感染症科・医長
pp.1935-1939
発行日 2013年8月1日
Published Date 2013/8/1
DOI https://doi.org/10.20837/12013081935
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
百日咳は乳幼児期に発症する特有のけいれん性咳嗽発作を特徴とした急性気道感染症であるが,現在では成人の慢性咳嗽をきたす原因として問題となっている。1950年代からワクチンの普及に伴い罹患者数は減少していたが,近年,世界的に成人を中心とした発症を認めている。諸外国ではさまざまなワクチンスケジュールが検討されてきたが,本邦では定期接種としては乳幼児期に3種または4種混合ワクチンとして接種をするのみであり,学童期・成人に接種するための百日咳ワクチンはないのが現状である。接種する場合には3種混合ワクチンの0.2mLへの減量接種が検討される。今後は百日咳ワクチンスケジュールの見直しや,成人用ワクチンの開発が望まれる。