連載 薬剤師による処方設計〈16〉
小児に対するバンコマイシンのTDM
諏訪淳一
1
,
堀越裕歩
2
すわ・じゅんいち
1
,
ほりこし・ゆうほ
2
1東京都立小児総合医療センター薬剤科
2東京都立小児総合医療センター感染症科
pp.1547-1552
発行日 2013年6月1日
Published Date 2013/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201306143
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小児科領域では「子供は小さな大人ではない」と表現されることが多く,薬剤師がTDM(Therapeutic Drug Monitoring)を行う際には注意を要する。小児に対するバンコマイシンのTDMを行う際には, 〈1〉 腎機能正常児の場合には,添付文書の投与量ではトラフ値は10μg/mL以下になることが多い, 〈2〉 ソフトウェアによる解析では腎機能を反映できない, 〈3〉 腎機能や水分バランスの変動が大きいため,薬物動態の変動が起こりやすい。
以上の3点を最低限認識しておくことが重要である。バンコマイシンのTDM が簡便に行えるよう,腎機能や水分バランス等を変動係数に入れた母集団パラメータを作成し,予測精度の高いソフトウェアの開発が望まれる。