医薬ジャーナル論壇
「縮む社会」に向き合う覚悟はできているか
佐藤博(さとう・ひろし)
1
1新潟大学医歯学総合病院教授・薬剤部長
pp.1431-1433
発行日 2013年6月1日
Published Date 2013/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201306027
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日本はバブル崩壊後,金融機関の信用収縮を契機に,低成長とデフレーション状態に陥った。さらに,東アジア地区の工業化の進展とグローバリゼーションによる輸入物価の大幅な低下により,1991年当時と名目ベースの国内総生産(GDP)が変わらない,いわゆる「失われた20年」を経験した。さらに,2011年より日本は,今後数十年単位で続くであろう本格的な人口減少時代に突入した。団塊の世代の筆者が若き頃,遠く欧州にその姿を見た記憶がある。英国病の克服,欧州通貨統合などを通して,「縮む社会」との折り合いをつけてきた先達がいる。日本が今後避けて通れない「縮む社会」に,正面から向き合う覚悟ができているかが,今,問われている。