シリーズ これだけは知っておきたい皮膚疾患の服薬指導 22
口唇ヘルペス カポジ水痘様発疹症
江藤隆史
1
,
大谷道輝
2
Etoh Takafumi
1
,
Ohtan Michiteru
2
1東京逓信病院院長補佐兼皮膚科部長
2東京逓信病院副薬剤部長
pp.1415-1417
発行日 2013年6月1日
Published Date 2013/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201306011
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疾患概念 単純ヘルペスウイルス(Herpes simplex virus:HSV)による皮膚・粘膜感染症は,単純疱疹と呼ばれ,口唇ヘルペスの頻度が最も高い。欧米では全人口の2~4割で生涯に1度は出現する(皮膚科学体系 中山書店 2008)。HSVには,1型(HSV-1)と2型(HSV-2)があり,1型は主に上半身の病変から,2型は主に下半身の病変から分離される。接触感染により伝播し,浮腫性紅斑・小水疱を主体とする病変を形成する。治癒後も知覚神経を経由して神経節に潜伏し,再活性化により皮膚・粘膜症状が再燃する。口唇ヘルペスは,HSV-1の再発であり,初感染の殆どは不顕性感染である(図1)。初感染の一部はヘルペス性歯肉口内炎と呼ばれる口腔粘膜のびらん・潰瘍の多発として現れる。カポジ水痘様発疹症には,古くはさまざまな原因疾患が含まれていたが,現在では,HSV-1の初感染あるいは再発による広範囲な水疱や膿疱が多発する疾患とされ,アトピー性皮膚炎などの皮膚バリア機能異常を基礎に持つ患者に好発する(図2)。