連載 精神科病床を休止。超長期入院の患者さんをどうやって地域へ?・3【最終回】
医療依存から離れる覚悟
高田 大志
1
1浦河ひがし町診療所
pp.498-501
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200132
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なぜ今回は可能だったのか
浦河で起きた2014年の精神科病棟閉鎖の物語は、決して地域移行の成功例ではない。支援者の力不足と病院の一方的な事情により転院を余儀なくされ、今も別の精神科病院の中で生活を送っている方がいることを忘れてはいけない。慣れ親しんだ病棟を奪われ病状が悪化してしまった方、家族との距離が離れてしまった方、治療が十分にできないまま転院してしまった方たちがいたこともまた事実である。
本稿でこれまで紹介してきた方たちは結果としてグループホームへの退院を果たしているが、こうすれば地域移行はうまくいくという説明は今でも難しい。病棟廃止(休止)という逃れようのない現実が起こり、「この人の場合はどうするか」ということをひたすら試行錯誤するしかなかったからである。ただ、これまでの退院支援と異なる点を1つあげるとするならば、それは「覚悟」ではないだろうか。
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