特集 最新の免疫学 ~自然免疫・獲得免疫~
6.IL-6アンプと神経-免疫クロストーク
有馬康伸
1
,
村上正晃
2
1大阪大学大学院生命機能研究科・医学系研究科・免疫学フロンティア研究センター免疫発生学教室
2大阪大学大学院生命機能研究科・医学系研究科・免疫学フロンティア研究センター免疫発生学教室 准教授
pp.689-696
発行日 2013年2月1日
Published Date 2013/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201302109
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インターロイキン6(IL-6)は,炎症性サイトカインの代表として広く知られている。 実際に抗IL-6受容体抗体は,関節リウマチやキャッスルマン病の治療薬として使用され, 多くの患者に朗報を与えている。しかし,実際にIL-6信号の遮断によってなぜこれらの病 気が良くなるのかということは解明されていなかった。我々は非免疫系細胞に存在する炎 症誘導機構「IL-6アンプ」の活性化が,リウマチモデルを含む自己免疫疾患の誘導に重要であることを見出してきた。さらに,このIL-6アンプの活性化が中枢神経系の血液脳関門を形成する血管内皮細胞に生じると,その部位が病原ヘルパーT細胞を含む免疫細胞の中枢 神経系への侵入口となることを報告した。
本稿では,ケモカインの局所発現機構,IL-6アンプの発見から,その活性化による神経系と免疫系のクロストークを解説する。