特集 最新の免疫学 ~自然免疫・獲得免疫~
4.樹状細胞による新しい免疫寛容誘導の仕組み
小内伸幸
1
,
大八木秀明
3
,
澤田賢一
4
,
樗木俊聡
2
1東京医科歯科大学難治疾患研究所先端分子医学研究部門生体防御学分野 講師
2東京医科歯科大学難治疾患研究所先端分子医学研究部門生体防御学分野 教授
3秋田大学大学院医学系研究科血液・腎臓・膠原病内科学
4秋田大学大学院医学系研究科血液・腎臓・膠原病内科学 教授
pp.675-680
発行日 2013年2月1日
Published Date 2013/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201302095
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感染に伴う免疫反応は,病原体を排除することで宿主を防衛すると同時に組織を傷害する,言わば“諸刃の剣”である。筆者らは,高濃度のTLR(Toll Like Receptor)リガンドを野生型マウスに投与すると,単球由来の樹状細胞(Monocyte-derived Dendritic Cell:Mo-DC)がアポトーシスを起こした赤血球系細胞を貪食することを見出した。同様の現象は,重篤なウイルス感染でも観察された。興味深いことに,Mo-DCは血球貪食依存性にIL(Interleukin)-10を産生して,CTL(Cytotoxic T Lymphocyte)活性などの過剰な免疫応答による組織傷害を抑制して個体の生存を保障することが明らかになった。従来,激しい炎症の指標として位置づけられてきた血球貪食現象が,過剰な免疫応答を抑制する新たな免疫寛容機構としての機能を有していると考えられる。