特集 アレルギー疾患治療の最前線
3.鼻噴霧用ステロイド薬の初期治療としての可能性
岡野光博
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学・准教授
pp.75-82
発行日 2013年1月1日
Published Date 2013/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201301075
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鼻噴霧用ステロイド薬は,アレルギー性鼻炎に対して強力な抗炎症作用を示す。花粉症では,鼻噴霧用ステロイド薬は主に症状の増悪が見られる場合や,重症例に用いられる。一方,本格発症前の最小持続炎症の制御という観点から,初期治療としての可能性が議論されている。自験例も含め,いくつかのプラセボ対照二重盲検比較試験において,鼻噴霧用ステロイド薬によるスギ・ヒノキ花粉症に対する初期治療は,プラセボと比較して症状およびQOL(quality of life)の増悪を有意に抑制した。一方,安全性に関しては,実薬とプラセボとの間に有意な差を認めなかった。さらに発症後治療と比較しても,本格飛散後の鼻眼症状の増悪を有意に抑制した。以上の結果から,鼻噴霧用ステロイド薬による初期治療は有効かつ安全な治療法である可能性が示唆されるが,初期治療のタイミングや飛散花粉数による効果の変化など,今後の検討も必要である。