特集 アレルギー疾患治療の最前線
2.抗ヒスタミン薬の現状と将来 ~スギ花粉症初期療法を中心に~
青井典明
1
1島根大学医学部耳鼻咽喉科・講師
pp.65-72
発行日 2013年1月1日
Published Date 2013/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201301065
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スギ花粉症患者はここ10年で10%増加し,2008年の全国調査では全国民の26.5%と報告され,もはや国民病とも言える疾患である。抗ヒスタミン薬は,スギ花粉症において初期療法に使用される薬剤の1つとしてガイドラインにも記載されている。その作用機序についてはインバースアゴニストとしての作用,鼻粘膜におけるH1受容体mRNA(mes senger ribonucleic acid)発現亢進を抑制する作用,その他の免疫修飾作用等が考えられている。非鎮静性第二世代抗ヒスタミン薬の登場により,抗コリン作用や中枢抑制作用について第一世代抗ヒスタミン薬とは比較にならないほど改善したが,インペアード・パフォーマンスの問題が存在する。さらに第二世代抗ヒスタミン薬の臨床試験における有効率は,おおむね70~ 80%であり,また第二世代抗ヒスタミン薬を用いてスギ花粉症患者に初期療法を行っても,花粉飛散の増加とともに症状は増悪し,追加薬剤を余儀なくされる。インペアード・パフォーマンスが存在せず,花粉飛散とともに増悪した症状に対しても十分に有効である薬剤の登場に期待したい。