特集 花粉症研究の進歩
Ⅶ.鼻噴霧ステロイドの効果的な使い方の研究
春名威範
1
,
岡野光博
2
,
檜垣貴哉
1
,
牧原靖一郎
3
Takenori Haruna
1
,
Mitsuhiro Okano
2
,
Takaya Higaki
1
,
Seiichiro Makihara
3
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科
2岡山大学大学院医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科准教授
3香川労災病院耳鼻咽喉科
pp.328-333
発行日 2017年2月15日
Published Date 2017/2/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201703052
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鼻噴霧用ステロイド薬はアレルギー性鼻炎に対して強力な抗炎症作用を示す。花粉症の本格発症前の最小持続炎症の制御という観点から,これまで,鼻噴霧用ステロイド薬は花粉症初期治療薬としての有用性が議論されていたが,最新版の鼻アレルギー診療ガイドライン(2016年版)からは,鼻噴霧用ステロイド薬は初期療法の1つとして記載されるようになった。自験例も含めいくつかのプラセボ対照二重盲検比較試験において,鼻噴霧用ステロイド薬によるスギ・ヒノキ花粉症に対する初期治療は,プラセボと比較して症状およびQOLの増悪を有意に抑制した。一方,安全性に関しては実薬とプラセボとの間に有意な差を認めなかった。さらに発症後治療と比較しても花粉の本格飛散後の鼻眼症状の増悪を有意に抑制した。以上の結果からは鼻噴霧用ステロイド薬による初期治療は有効かつ安全な治療法であることが明らかとなった。しかし,初期治療の適切な開始時期や飛散花粉数による効果の変化など今後の検討も必要である。