特集 アレルギー疾患治療の最前線
4.期待される新規薬物療法 ~抗体療法,分子標的治療薬など~
野中学
1
,
瀬尾友佳子
2
,
崎谷恵理
2
1東京女子医科大学耳鼻咽喉科学教室 臨床教授
2東京女子医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.85-91
発行日 2013年1月1日
Published Date 2013/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201301085
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近年,アレルギー性鼻炎と喘息の関係がone airway, one diseaseとされるのと同様に,好酸球性副鼻腔炎,好酸球性中耳炎と喘息の関係もone airway, one diseaseと考えられつつある。Immunoglobulin E(IgE)は,アレルギー性喘息で重要な役割を果たしている。喘息の分子標的治療薬としてヒト化抗ヒトIgE抗体(抗IgE:オマリズマブ)が最初に認可され,その有効性が報告されている。One airway, one diseaseとしての上気道好酸球性炎症(アレルギー性鼻炎,好酸球性副鼻腔炎,好酸球性中耳炎)に対しても,オマリズマブの有効性が報告されている。その他,ヒト化抗interleukin(IL)-5抗体のステロイド依存性喘息に対する有効性の報告がある。さらに,喘息に対するIL-4受容体α鎖のリコンビナント抗体,IL-2受容体α鎖に対するヒト化抗体,ヒトリコンビナントIL-13抗体などの臨床研究が進行している。生物製剤による分子標的治療は,気道アレルギー疾患の病態に基づいた治療として,今後さらに発展が期待される。