発行日 2014年1月20日
Published Date 2014/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/J05332.2014091131
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症例は69歳,男性.下部消化管内視鏡検査にて,上部直腸(Ra)に10mm大の発赤調の扁平隆起性病変を認めた.インジゴカルミン撒布にて,病変は隆起部と棘状陥凹を有する平坦隆起部の二つのcomponentに分かれているように観察された.肉眼形態はlaterally spreading tumor non-granular type(LST-NG)と診断した.Narrow Band Imaging systemを用いた拡大観察にて,隆起部はnetwork pattern,陥凹部はirregular patternを呈していた.クリスタルバイオレット染色下の拡大観察では,隆起部はIVB型pit pattern,陥凹部はVI型軽度不整pit patternを呈し,陥凹辺縁部にはI型pitが観察された.以上よりSM深部浸潤癌を示唆する所見には乏しいと判断し,内視鏡的粘膜切除術を施行した.病理所見は,隆起部では管状腺腫成分を,棘状陥凹部では高分化管状腺癌を認め,最終病理組織診断はIIa(LST),10×7mm,adenocarcinoma(tub-1)with adenoma,pM,HM0,VM0であった.内視鏡施行時には,扁平隆起部と棘状陥凹部の表面構造が明瞭に二分しているように観察され,病変の発育進展を考えるうえで興味深い症例と考えられた.
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