胃酸分泌抑制療法-その歴史的変遷と現状、今後の課題
胃酸分泌抑制薬による治療の現状 NSAIDs潰瘍
平石 秀幸
1
,
福士 耕
,
永島 一憲
,
金森 瑛
,
高橋 史成
,
富永 圭一
1獨協医科大学 消化器内科
キーワード:
Aspirin
,
Prostaglandins
,
胃酸
,
消化性潰瘍
,
非ステロイド系抗炎症剤
,
Proton Pump Inhibitors
Keyword:
Aspirin
,
Anti-Inflammatory Agents, Non-Steroidal
,
Gastric Acid
,
Peptic Ulcer
,
Prostaglandins
,
Proton Pump Inhibitors
pp.191-197
発行日 2017年1月20日
Published Date 2017/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/J01937.2017115895
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高齢社会を迎え,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と低用量アスピリン(LDA)の消化管リスクが注目される.H.pyloriとNSAIDsは潰瘍発生のリスクを約20倍増加させる一方,出血のリスクはNSAIDs潰瘍がH.pylori起因性より大きい.消化性潰瘍の有病率はNSAIDs投与で約20%,LDA投与で約10%と想定される.本邦において,20年間で潰瘍患者数は1/3以下に減少したが,死亡率は約2倍に上昇しており,高齢化と薬剤の関与が推測される.主要な粘膜傷害機序の観点から,NSAIDs潰瘍の予防および治療は酸分泌抑制薬およびプロスタグランジン(PG)投与が中心となる.メタ解析でNSAIDs潰瘍の治癒効果が証明されているのはプロトンポンプ阻害薬(PPI)とPG製剤である.予防の点では,PPIは胃潰瘍と十二指腸潰瘍発生の相対リスクを有意に低下させたが,通常用量のH2受容体拮抗薬の予防効果は十二指腸潰瘍に限られた.
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