認知症と透析医療
透析患者に対する認知症ケア
渡辺 俊之
1
1東海大学 健康科学部社会福祉学科
キーワード:
記憶障害
,
血液透析
,
錯乱
,
腎不全-慢性
,
認知症
,
治療の差し控え
,
Clock Drawing Test
,
高次脳機能障害
,
行動心理学的症候
Keyword:
Dementia
,
Confusion
,
Kidney Failure, Chronic
,
Renal Dialysis
,
Memory Disorders
,
Withholding Treatment
pp.1015-1022
発行日 2016年7月10日
Published Date 2016/7/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2016391715
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透析医療の今日的課題の一つが「認知症」へのケアである.透析に従事する医療スタッフは「認知症の知識」をもつべきであろう.その一つは早期発見のための知識である.認知症の初期徴候や共通した症状を知ることが基本になる.そのうえで透析施設でも可能な簡便な認知症検査を行うことである.認知症を合併する透析患者の場合の治療は,薬物の血中動態や排泄を考慮した慎重な投与が必要になる.すぐに薬物療法を考えるのではなく,薬物療法前に対応できる環境調整などのケアの工夫を試みるべきであろう.今後のもっとも考えるべき課題は認知症を合併した腎不全患者の透析の「開始」や「中断」の問題である.尊厳と関わるこの問題は,医療スタッフだけでなく国民が考えるべき深刻な問題である.
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