認知症と透析医療
認知症患者の終末期サポート 最終的手段としての透析中止を含めて
大平 整爾
1
1札幌北クリニック
キーワード:
血液透析
,
腎不全-慢性
,
認知症
,
ターミナルケア
,
治療の差し控え
Keyword:
Dementia
,
Kidney Failure, Chronic
,
Renal Dialysis
,
Terminal Care
,
Withholding Treatment
pp.1063-1068
発行日 2016年7月10日
Published Date 2016/7/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2016391721
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
維持透析患者の高齢化が顕著となり,「認知症患者の透析開始」並びに「透析開始後の認知症発症」に関連する問題が深刻化している.認知症患者の終末期には,(1)認知症の重症化で不動・食事摂取不能などの結果と,(2)認知症の程度に変化はないが,腎不全に随伴した身体状態悪化の結果の2種類が考えられる.いずれの状態であっても透析の施行が不可能か著しく困難・危険を伴うのであれば,日本透析医学会の「透析の見合わせ」提言に沿った意思決定が進められるべきである.一方,透析の施行が可能であっても認知症が重度に陥った場合には,患者自身の意向を強く忖度できる材料(事前指示や家族などの会話など)が存在すれば,それらを最大限尊重した家族や医療者による代理判断が必要であり容認されよう.患者の意向をまったく推測しえない場合には,家族・関係者などを中心に当該患者への最善策が模索されることになる.
Copyright © 2016, Nihon Medical Center, Inc. All rights reserved.