透析患者の悪性腫瘍の早期発見と予防
透析患者における悪性腫瘍疫学
海津 嘉蔵
1
1阿部クリニック
キーワード:
危険因子
,
血液透析
,
子宮腫瘍
,
腫瘍
,
腎臓腫瘍
,
腎不全-慢性
Keyword:
Kidney Failure, Chronic
,
Renal Dialysis
,
Neoplasms
,
Kidney Neoplasms
,
Risk Factors
,
Uterine Neoplasms
pp.7-13
発行日 2015年1月10日
Published Date 2015/1/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2015138773
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透析患者では,一般住民に比して悪性腫瘍の発症頻度が高いのではないかという点が長い間の疑問である.この点に関する研究は少なく,疫学的に検討されている論文が乏しい.欧米で行われた大規模研究も登録患者のデータの正確性で批判もある.わが国では,大規模な前向き研究は一つしかない.その結果から見ると,男女とも一般住民に比し,有意にがん全体では多いといえた.がんの種類別で見ると,男性では腎がんがもっとも多く,次いで多発性骨髄腫,肝がん,結腸がんが多く,女性では,子宮がんが多かった.透析導入後,1年以内に44.7%,5年以内に88.3%の悪性腫瘍が診断されているという結果が出た.透析患者のがんは,透析導入前からの持ち込みが主であると考えられ,慢性腎臓病(CKD)はがんのリスクであると考えられる.透析導入前にがんのスクリーニングをすべきであろう.
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