特集 がん薬物療法と腎機能低下 腎機能を考慮したマネジメントの基礎と実践
慢性腎臓病/腎不全を合併するがん患者で注意すべきがん薬物療法 腎癌領域の分子標的抗がん薬
藤堂 真紀
1
1埼玉医科大学国際医療センター 薬剤部
キーワード:
Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitors
,
Calcium Channel Blockers
,
血液透析
,
降圧剤
,
高血圧
,
抗腫瘍剤
,
腎臓腫瘍
,
腎不全-慢性
,
タンパク尿
,
血管新生阻害物質
,
Angiotensin II Type 1 Receptor Blockers
,
腎機能障害
,
慢性腎臓病
,
分子標的治療
Keyword:
Calcium Channel Blockers
,
Antineoplastic Agents
,
Hypertension
,
Kidney Neoplasms
,
Renal Dialysis
,
Kidney Failure, Chronic
,
Proteinuria
,
Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitors
,
Antihypertensive Agents
,
Angiogenesis Inhibitors
,
Angiotensin II Type 1 Receptor Blockers
,
Molecular Targeted Therapy
,
Renal Insufficiency, Chronic
,
Renal Insufficiency
pp.2665-2672
発行日 2020年6月5日
Published Date 2020/6/5
DOI https://doi.org/10.15104/J01461.2020279017
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<Key Points>◎腎癌領域の分子標的抗がん薬の減量投与方法を網羅したガイドラインは国内に存在しないが、腎摘除術後で片腎の患者や、もともと慢性腎臓病(CKD)を合併した患者など腎機能障害進行のハイリスク群の患者では、併用薬、血圧レベルや尿タンパク、血清クレアチニン値などを慎重に観察する。◎スニチニブによる腎癌治療患者では、血中濃度を測定し、その投与量を管理した場合に「特定薬剤治療管理料1」を月1回算定することが可能である。腎機能低下患者では、既存の用量調節指針を参考にし、有害事象のモニタリングを密に行って用量の増減を検討することが望ましい。投与開始・休養・減量・中止・再開については各薬剤の適正使用ガイドを参考にする。◎血管新生阻害薬による高血圧管理については、第一、第二選択は、RAS阻害薬またはCa拮抗薬(ジヒドロピリジン系)を選択する。RAS阻害薬使用は、CKD患者に注意する。また、高血圧・タンパク尿の管理が重要である。◎透析患者の場合には、「患者の腎機能低下の程度」と「腎排泄寄与率(腎クリアランス/全身クリアランス)」の2点に加えて、タンパク結合率と分布容積を考慮した「透析性」を評価する。腎癌経口分子標的薬は、脂溶性が高く、組織・筋肉などへ高濃度に分布し、タンパク結合率が高くなり、血液透析ではほとんど除去されない。投与後の血中濃度モニタリングを実施できるとよりよい。
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