発行日 2013年2月10日
Published Date 2013/2/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2013153151
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70歳代女。常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)にて血液透析を導入し外来維持透析治療を受けていたが、2年後に右下肢深部静脈血栓症(DVT)を合併した。抗凝固治療を開始したが、発熱、食欲低下、胸痛(背部痛)が出現したため入院となった。肺野に異常所見はないが、CRP値の著明な上昇で感染症が疑われ、広域抗菌薬(メロペネム)投与を行ったところ、症状は一時改善した。入院3病日の胸部X線写真にて両肺胸膜下に多発性結節陰影が、また胸部CT写真で空洞形成が認められた。さらに胸水貯留と一部気胸が確認され、これに前後してクォンティフェロンTBゴールドにて、結核感染が確認された。これらのことと胸部CT写真にfeeding vessel signや一部target signを示唆する陰影認められたことから、敗血症性肺塞栓症(SPE)と診断された。TAZ/PIPCとバンコマイシンを併用したところ、発熱は改善し、CRPは10mg/dl前後で経過した。第14病日に左側胸水貯留が著明に拡大したが、抗菌薬投与で改善した。本例のSPEの原因として、数ヵ月前に発症したDVTが考えられた。
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