連載 腸内細菌をめぐって
Ⅵ.糞便微生物移植療法(FMT)と消化器疾患
安藤 朗
1
,
西田 淳史
1
,
井上 亮
2
1滋賀医科大学医学部消化器内科
2京都府立大学大学院生命環境科学研究科
キーワード:
クロストリジウム腸炎
,
腸内細菌
,
炎症性腸疾患
Keyword:
クロストリジウム腸炎
,
腸内細菌
,
炎症性腸疾患
pp.351-357
発行日 2017年7月20日
Published Date 2017/7/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000082
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抗菌剤などの投与が原因となって発症するクロストリジウム・ディフィシル腸炎(Clostridium diffi cile infection,以下CD 腸炎)は,高齢者や免疫不全患者では重症化し死に至ることもある.CD 腸炎,とくに難治性再発性CD 腸炎に対する高い有効性から注目されているのが糞便微生物移植療法(fecal microbiotatransplantation;FMT)である.FMT は,内視鏡や経鼻チューブを用いて健康なドナー便をCD 腸炎患者の(小)大腸に直接投与する治療法である.カプセル化した便の経口投与や凍結ドナー便を用いた経験も報告されている.重篤な副作用はほとんどなく,CD 腸炎に対する有効率はほぼ90%に達する.一方,腸内細菌叢の変化が病態の形成に関与することが示されている炎症性腸疾患などについては,その有効性は未だ確立されていない.ここでは,CD 腸炎を中心にFMT の現状とこれからの展望について解説する.
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