特集 胆囊ポリープ・腺筋腫症,胆囊良性疾患の診断と治療
9.まれな胆囊良性疾患(3)胆囊損傷,胆囊外傷,胆囊穿孔
石川 博人
1
,
村井 麻衣
1
,
藤﨑 正寛
1
,
内野 馨博
1
,
甲 拡子
1
,
竹中 美貴
1
,
岸本 幸也
1
,
緒方 敏郎
1
,
岡部 正之
1
1宗像水光会総合病院外科
キーワード:
胆囊損傷
,
胆囊外傷
,
胆囊穿孔
Keyword:
胆囊損傷
,
胆囊外傷
,
胆囊穿孔
pp.675-679
発行日 2025年5月20日
Published Date 2025/5/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003473
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胆囊は解剖学的に損傷を受けにくい臓器とされ,腹部鈍的外傷による胆囊損傷の頻度は約2%と報告されている.胆囊損傷には胆囊壁の挫傷,剝離,穿孔,破裂などが含まれる.胆囊損傷の画像診断には腹部超音波検査やCT検査による胆囊の腫大・胆囊壁の肥厚・胆囊壁の途絶や不整・胆囊内腔が不均一・胆囊内部の鏡面像・胆囊周囲の液体貯留・腹腔内の液体貯留などの所見の同定が有用である.しかしながら,胆囊損傷の臨床症状は損傷の形態や合併損傷により大きく異なり,術前診断を困難にさせる.胆囊損傷から手術までの期間は4時間~7日,平均55時間を要し,受傷後30日にて開腹手術を施行した報告もある.診断の遅れにより,外傷性胆囊損傷に関連する合併症と死亡率が大幅に増加するといわれており,胆囊損傷が疑われた場合には多臓器合併損傷が少なくないことや保存的加療が不成功に終わる可能性を十分に考慮し,早期の外科的治療を常に念頭におくべきである.

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