特集 内科医が知っておくべき,肛門疾患の基礎知識
12.排便困難 ―とくに直腸瘤について
松村 奈緒美
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1松島病院大腸肛門病センター肛門科
キーワード:
直腸瘤
,
排便造影検査
,
排便困難
,
骨盤底筋協調運動障害
Keyword:
直腸瘤
,
排便造影検査
,
排便困難
,
骨盤底筋協調運動障害
pp.451-458
発行日 2024年3月20日
Published Date 2024/3/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002995
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排便困難は慢性便秘症の分類の一つで,診療を行ううえで大切なのはまず器質性狭窄性疾患を見逃さないことである.器質性狭窄を伴わない排便困難は便の出始めが硬いことに起因する場合が大半であり,目指す便性状はブリストルスケールType 4であることを提示し,それに向かって治療を進める.しかし,便の性状が良いにもかかわらず排便困難を認める場合は専門医受診を検討する.骨盤底筋協調運動障害の場合は排便指導,すなわち便の排出訓練やバイオフィードバック療法などを行う.女性では,肛門前側(膣壁側)に便がはまりこんで排便困難をきたしていることがあり,これを直腸瘤という.直腸瘤のある膣後壁を指で肛門側に押さえ(支え)て排便を行うことを用指排便といい,症状が強い場合は手術治療を検討する.しかし,直腸瘤では骨盤底筋協調運動障害を伴っている場合が多く,排便指導も同時に行う.
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