特集 内科医が知っておくべき,肛門疾患の基礎知識
巻頭言
山名 哲郎
1
1地域医療機能推進機構(JCHO)東京山手メディカルセンター大腸肛門病センター
pp.365-366
発行日 2024年3月20日
Published Date 2024/3/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002982
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
肛門疾患とは消化管の最終器官である肛門管およびその周囲に発症する疾患の総称である.一般的には痔疾患と称される痔核(いぼ痔),裂肛(切れ痔),痔瘻がその代表である.それ以外にも膿皮症や毛巣洞といった肛門周囲の皮膚に発症する慢性化膿性皮膚疾患や,尖圭コンジローマのような肛門周囲皮膚のウイルス性感染症なども含まれる.肛門そう痒症のように,原因は多岐にわたるが「そう痒」という症状でくくられる疾患もある.骨盤臓器脱の一つである直腸脱も肛門から直腸が全周性に脱出してくる病態であるため,広い意味で肛門疾患の一つとして扱われる.炎症性腸疾患の一つであるクローン病では,痔瘻,肛門潰瘍,スキンタッグ,肛門狭窄など多彩な肛門病変が出現することがあり,その特徴的な外観から肛門病変をきっかけに腸管精査を行うことで,クローン病の診断がつく症例も少なくない.
Copyright © 2024, Nihon Medical Centers, Inc. All rights reserved.