連載 「胃炎の京都分類」の使い方
第3回 既感染診断としての萎縮:H.pylori未感染の幽門腺粘膜と除菌後のC1およびC2の鑑別について
寺尾 秀一
1
,
鈴木 志保
1
1加古川中央市民病院内科
キーワード:
C0
,
C1
,
H. pylori未感染
,
H. pylori既感染
,
antral gastritis
,
pangastritis
Keyword:
C0
,
C1
,
H. pylori未感染
,
H. pylori既感染
,
antral gastritis
,
pangastritis
pp.1373-1380
発行日 2022年8月20日
Published Date 2022/8/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002365
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C0未感染の前庭部の色調は正色調あるいは漸次的に褪色調に移行し,明瞭な腺境界を認識できないことが多い.C1既感染の前庭部は,萎縮・I.M. が進行している場合は,褪色調で,斑状発赤,地図状発赤などの所見が出現し,H. pylori既感染であることの診断は容易である.萎縮・I.M. が乏しい場合は,正色調~褪色調であることが多く,H. pylori未感染あるいはantral gastritis型のH. pylori現感染との鑑別が困難になることがある.この場合にも,腺境界の観察や,粘膜腫脹・胃小区の浮腫・腫大の有無(色素撒布法の併用)の観察が鑑別の一助になることがある.C2の場合は,体下位小彎の萎縮(斑状の萎縮痕,わずかな褪色域のはみ出し)と,びまん性発赤のない非萎縮域との対比から,H. pyrori既感染であることの診断は容易である.
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