連載 内視鏡の読み方
Hypercontractile esophagusの2例
保坂 浩子
1
,
栗林 志行
1
,
田中 寛人
1
,
浦岡 俊夫
1
1群馬大学大学院医学系研究科消化器・肝臓内科学
キーワード:
食道運動障害
,
hypercontractile esophagus
,
jackhammer esophagus
Keyword:
食道運動障害
,
hypercontractile esophagus
,
jackhammer esophagus
pp.344-350
発行日 2022年2月20日
Published Date 2022/2/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002128
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Hypercontractile esophagusは食道の強収縮を特徴とする一次性食道運動障害で,つかえ感や胸痛の原因となる疾患である.従来,ナットクラッカー食道と呼ばれていた病態であるが,高解像度食道内圧測定機器(high—resolution manometry;HRM)を用いた食道運動障害の分類であるChicago分類で,強収縮を呈する症例のなかで健常人では認められない著しい強収縮を認める疾患として新しく定義された.HRMでは一次蠕動波の収縮力の指標として使用されるパラメータであるdistal contractile integral (DCI)が8,000 mmHg—s—cm以上となる強収縮が,10回の水嚥下中2回以上認められた場合にhypercontractile esophagusと診断される.以前のChicago分類ではjackhammer esophagusと呼ばれていたが,最新のChicago分類v4.0ではhypercontractile esophagusと変更され,jackhammer esophagusの名称は,hypercontractile esophagusのなかでも持続性,反復性の強収縮を伴うもののみを指すようになっている.食道アカラシアは,下部食道括約部(lower esophageal sphincter;LES)の弛緩不全と,食道体部の正常な一次蠕動波の消失を特徴とする食道運動障害であるが,hypercontractile esophagusはLESの弛緩不全を伴わず,食道体部に異常な波高は呈するものの蠕動性が保たれている疾患である.
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