特集 門脈圧亢進症に対する診療
3.門脈圧亢進症のおもな合併症―診療の実際(8)門脈血栓症
日高 央
1
,
魚嶋 晴紀
1
1北里大学医学部消化器内科学
キーワード:
アンチトロンビン
,
凝固因子
,
抗凝固因子
Keyword:
アンチトロンビン
,
凝固因子
,
抗凝固因子
pp.1546-1553
発行日 2021年10月20日
Published Date 2021/10/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002002
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門脈血栓症には,6カ月以内に発生した急性門脈血栓と,その以前から継続的に存在する慢性門脈血栓とが存在する.一般に急性門脈血栓症は肝硬変患者における重篤な疾患の一つであり,速やかに治療すべきと考えられている.門脈血栓の形成には,肝硬変症における凝固・抗凝固のインバランスが深く関わっている.急性門脈血栓症では,腹痛を伴うことが多いものの,特異的な臨床症状はなく,血清学的診断や画像検査が重要とされる.門脈血栓の薬物療法には,抗血小板薬や血栓溶解薬を用いることはなく,抗凝固薬が治療の中心である.本邦においてアンチトロンビンの濃度が低下している症例に対しては,同製剤の投与が保険承認を得られている.
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