特集 消化器内科医のためのIgG4関連疾患
巻頭言
神澤 輝実
1
1がん・感染症センター都立駒込病院(内科)
pp.581-582
発行日 2021年5月20日
Published Date 2021/5/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001782
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膵臓に腫瘤を形成する腫瘤形成性膵炎は,膵臓癌と誤診しやすい特殊な膵炎として以前から報告されていた.東京都立駒込病院病理科のKawaguchiらは,腫瘤形成性膵炎切除例の病理組織学的検討より,密なリンパ球と形質細胞の浸潤と線維化を特徴とするlymphoplasmacytic sclerosing pancreatitis(LPSP)という概念を1991年に提唱した.東京女子医科大学のTokiらはびまん性膵腫大とともに膵管狭細像を呈する“膵管狭細型膵炎”という特殊な慢性膵炎を1992年に報告し,1995年には同大学のYoshidaらが,高グロブリン血症と自己抗体が陽性でステロイドが著効した膵管狭細型膵炎例において発症に自己免疫の関与が推定されることより自己免疫性膵炎の概念を提唱した.その後2001年には,自己免疫性膵炎患者では血中IgG4値が上昇することが報告された.
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