連載 検査値の読み方
慢性肝疾患における線維化の推測―肝細胞癌患者高リスクグループの囲い込み
吉田 英雄
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1日本赤十字社医療センター消化器内科
キーワード:
chronic liver disease
,
hepatic fibrosis
,
FIB−4 index
,
elastography
Keyword:
chronic liver disease
,
hepatic fibrosis
,
FIB−4 index
,
elastography
pp.449-452
発行日 2021年3月20日
Published Date 2021/3/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001737
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慢性肝疾患では自覚症状がないことが多く,患者の病識も必ずしも良好とはいえない.しかし,軽度の炎症でも長年にわたって持続すると線維化が進行し,肝硬変へと進展する場合もある.肝硬変になれば,肝機能低下による肝不全,肝細胞癌の発症,肝硬変の合併症の発症などの生命予後に関わる病状が現れてくる.慢性肝疾患診療はこうした生命予後に関わる病態が現れてくるのを防ぐことにあるといっても過言ではない.病状の経過において,線維化の程度は現在病態がどの程度進行しているかの指標になる.一方で,肝障害の程度は病状の進行スピードがどれくらいであるかの指標になる.現在位置と進行速度,患者の年齢や合併する他疾患の状況により,肝疾患に対する治療の必要性や適用する治療の種類を判断することになる.したがって,現在位置を知る,すなわち肝線維化の程度を知るということは非常に重要となる.昨今,侵襲性のある肝生検に代わって線維化の程度を推測する手段が開発されてきているので,概観する.
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