特集 感染症と消化器 ― 診断と治療:感染症専門医から消化器内科医へのアドバイス
1.おもな消化器感染症の抗菌薬療法の進歩(3)原発性腹膜炎の抗菌薬療法
酒井 梨紗
1
1埼玉医科大学総合医療センター総合診療内科
キーワード:
原発性腹膜炎
,
特発性細菌性腹膜炎
,
腹水
,
肝硬変
,
抗菌薬治療
Keyword:
原発性腹膜炎
,
特発性細菌性腹膜炎
,
腹水
,
肝硬変
,
抗菌薬治療
pp.251-256
発行日 2021年2月20日
Published Date 2021/2/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001695
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特発性細菌性腹膜炎は,腹水を有する肝硬変患者で多く併発する一次性腹膜炎である.二次性腹膜炎と比較して臨床症状や所見がはっきりしないことも多く,積極的に疑わなければ診断が遅れる可能性がある.診断には腹腔穿刺が必須である.腹水中の好中球数増加と腹水培養陽性により診断となる.治療は5~7日間の抗菌薬投与を行う.初期治療の抗菌薬は市中発症で薬剤耐性菌リスクが低い患者であれば第三世代セフェム系が選択肢となるが,近年ESBL産生菌など薬剤耐性菌の懸念があり,一部の患者では抗菌薬選択の際に注意を要する.最後に抗菌薬の予防投与についても述べる.本邦においては,適応となる患者に対して個別に判断が必要となるだろう.
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