特集 感染症と消化器 ― 診断と治療:感染症専門医から消化器内科医へのアドバイス
1.おもな消化器感染症の抗菌薬療法の進歩(1)感染性腸炎の抗菌薬療法
林 良典
1
1順天堂大学医学部総合診療科学講座
キーワード:
感染性下痢
,
感染性腸炎
,
便培養
,
急性下痢
Keyword:
感染性下痢
,
感染性腸炎
,
便培養
,
急性下痢
pp.237-242
発行日 2021年2月20日
Published Date 2021/2/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001693
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
感染性腸炎は日常診療でよく出会う疾患である.感染性腸炎の多くがウイルス性であり,細菌性であってもサルモネラやカンピロバクターなどでは軽症であれば自然軽快するため治療は不要である.問診や診察にて脱水状態や症状の重さを判断し,重症の場合や高齢者,免疫不全,人工物が体内にある患者といった重症化の可能性のある患者では抗菌薬治療を考慮する.レボフロキサシンやアジスロマイシンを使用するが,抗菌薬によるクロストリジウム・ディフィシル感染症の発症やサルモネラ菌の排泄期間の延長,溶血性尿毒症症候群の発症リスク,耐性菌の出現などのデメリットも存在するため適切に使用するべきである.
Copyright © 2021, Nihon Medical Centers, Inc. All rights reserved.