特集 分子標的時代のIBD 診療 ―IBD の寛解導入,寛解維持の実践
巻頭言
渡辺 守
1
1東京医科歯科大学 理事・副学長
pp.1185-1186
発行日 2020年8月20日
Published Date 2020/8/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001312
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近年IBD においては,生物学的製剤に代表される新規薬剤のグローバルな開発が活発である.ステロイド薬や免疫調節薬などのいわゆる既存治療との比較で,有効性のみでなく,安全性においても優れた成績が期待される薬剤も少なくない.多くの患者で寛解導入が可能となる一方で,これらの薬剤間の有効性などを比較した研究は多くはなく,薬剤の選択に頭を悩ませることとなる.有効性の評価に関しては,かつてのように臨床症状の改善のみでなく,内視鏡検査による粘膜治癒の評価や,便中マーカーの活用およびその解釈などについての知識が必要とされる.また,治療選択肢は無限にあるわけではないため,潰瘍性大腸炎およびクローン病それぞれにおいて,適切なタイミングで評価することが重要であり,一方で,疾患の進行を可能なかぎり早期に同定し,現行の治療の最適化を含めた治療変更を検討しなくてはならない.また,患者へのさまざまな負担を考慮すれば,必要以上の内視鏡検査や放射線検査などは回避し,非侵襲的な検査で代用できるのが望ましい.
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