特集 薬物療法がひらく新しい肝細胞癌の治療strategy
巻頭言
小池 和彦
1
1東京大学大学院医学系研究科消化器内科学
pp.785-786
発行日 2020年7月20日
Published Date 2020/7/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001222
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肝細胞癌(以下,肝癌)に対する治療は,外科的な肝切除療法とそれ以外の非切除療法に大別される.非切除療法は経皮的局所療法,肝動脈塞栓術,および化学療法に分けられる.肝癌は,通常ウイルス肝炎を中心とする慢性肝疾患に発生し,その大部分は肝硬変を合併している.そのため,外科的肝切除の適応となる症例はおおよそ3~4 割に限られ,たとえ局所根治的に切除が行われたとしても,5 年以内に50%以上,10 年以内に70%以上の患者で再発をきたす.一方,他臓器の癌とは異なり遠隔転移は比較的まれで,再発巣の大部分は肝内に発生するという特徴がある.
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