特集 大腸ESD の工夫
[各論]
4 .剝離の工夫(2)トラクションデバイスを使用したpocket‒creation method の有用性
井出 大資
1
,
五十嵐 正広
1
,
千野 晶子
1
,
斎藤 彰一
1
1がん研有明病院 下部消化管内科
キーワード:
大腸ESD
,
pocket-creation method
,
トラクションデバイス
Keyword:
大腸ESD
,
pocket-creation method
,
トラクションデバイス
pp.287-294
発行日 2020年2月20日
Published Date 2020/2/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001081
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大腸ESD は粘膜下層の線維化や操作性の不良が原因で,未だに技術的難易度が高いのが現状である.近年,これらの困難を克服する手法としてpocket-creation method (PCM)の有用性が報告されているが,病変へのアクセスが不良な症例やナイフが筋層と垂直に対峙してしまう症例では,粘膜下ポケットを形成するための最初のステップであるmucosal flap の形成が難しい.そこでわれわれはPCM を施行する際にトラクションデバイス(TD)を併用するPCM with TD を考案した.PCM with TD の利点としては,① すでに牽引された状態で最初の切開が始められるため,mucosal flap の形成が容易で迅速に粘膜下ポケットを形成できる,② 切開前にTD を装着するため,正確に病変を避けてTD を装着することができる,③ 十分に膨隆が得られた粘膜にTD を装着するため,誤ってTD が筋層を嚙んでしまうリスクがない,④ 先端開口径が広いフードを使用することが可能であり,視野が広く,ポケット内の視認性が良好となることが挙げられる.
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