特集 ガイドラインに基づいた内視鏡診療
4 .「POEM 診療ガイドライン」の臨床
塩飽 洋生
1
,
岡田 浩樹
1
,
増井 友恵
1
,
大宮 俊啓
1
,
山下 兼史
1
,
南 ひとみ
2
,
井上 晴洋
3
,
長谷川 傑
1
1福岡大学消化器外科
2長崎大学病院消化器内科
3昭和大学江東豊洲病院消化器センター
キーワード:
POEM
,
アカラシア
,
ガイドライン
,
ダブルスコープ
Keyword:
POEM
,
アカラシア
,
ガイドライン
,
ダブルスコープ
pp.31-37
発行日 2019年12月20日
Published Date 2019/12/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001016
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食道アカラシアは,下部食道括約部(lower esophageal sphincter;LES)の弛緩不全と食道体部の蠕動運動の障害を認める原因不明の食道運動機能障害である.経口内視鏡的筋層切開術(per‒oral endoscopic myotomy;POEM)はInoue らによって考案された食道アカラシアに対する画期的な治療法で,現在では標準治療の一つとして行われている.本稿では,2018 年に公開された「POEM 診療ガイドライン」が実際の臨床現場でどのように生かされているか,当院での経験をもとに解説する.食道アカラシアの診断には上部消化管内視鏡検査,食道X 線造影検査,食道内圧検査,胸腹部CT 検査を行う.これらの検査で食道アカラシアと確定診断され,POEM を施行する場合は,全身麻酔のリスク評価を行う.POEM を行うにあたっては,気管内挿管のもと,全身麻酔下で行うが,内視鏡からの送気は必ずCO2を使用する.空気送気でPOEM を行うことは禁忌である.筋層切開の始点は,自覚症状(つかえ感の位置),食道造影検査での狭窄部位,食道内圧検査での亜分類(シカゴ分類)をもとに決定し,筋層切開の終点は胃側2 cm 前後のところに置く.胃側まで筋層切開が進んだことを確認する方法としては,Double scope 法が推奨される.
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