特集 腹膜炎・腹水に対する診療の進歩
4 .肝性腹水の薬物療法
淺岡 良成
1
,
田中 篤
1
1帝京大学医学部内科学講座
キーワード:
カリウム保持性利尿薬
,
ループ利尿薬
,
バソプレシンV2受容体拮抗薬
,
アルブミン製剤
,
塩分制限
Keyword:
カリウム保持性利尿薬
,
ループ利尿薬
,
バソプレシンV2受容体拮抗薬
,
アルブミン製剤
,
塩分制限
pp.1031-1038
発行日 2019年6月20日
Published Date 2019/6/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000853
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肝性腹水は非代償性肝硬変においてQOLを低下させる症状である.門脈圧亢進,低アルブミン血症,末梢血管拡張に伴う体液分布の異常と,これに伴う有効循環血漿量低下,腎臓におけるナトリウム,水の再吸収が肝性腹水の増加をもたらす.利尿薬治療は腎臓における再吸収の抑制であり,スピロノラクトンとフロセミドにバソプレシンV2受容体拮抗薬トルバプタンが加わった.3剤を組み合わせた効率的で副作用の少ない投与法が模索され,肝硬変ガイドラインに提示されている.利尿薬による治療は体液の分布異常である肝性腹水の根本的な治療ではなく,対症療法であることを理解し,塩分制限やアルブミン投与などを効果的に組み合わせることで,肝性脳症,腎障害,電解質異常といった合併症のリスクを低減しながら,栄養状態の改善,QOLの改善をはかっていくことが重要である.
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