特集 肝と免疫2019
3.原発性胆汁性胆管炎(PBC)(1)原発性胆汁性胆管炎の疫学と診断
城下 智
1
1信州大学医学部内科学第二教室,消化器内科
キーワード:
原発性胆汁性胆管炎
,
抗ミトコンドリア抗体
,
バイオマーカー
Keyword:
原発性胆汁性胆管炎
,
抗ミトコンドリア抗体
,
バイオマーカー
pp.503-512
発行日 2019年4月20日
Published Date 2019/4/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000737
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原発性胆汁性胆管炎(PBC)は,中高年の女性に好発する,慢性進行性の胆汁うっ滞性肝疾患である.原因は不明であるが,その病因・病態には自己免疫学的機序が想定されている.胆道系酵素の上昇所見や胆汁うっ滞所見があり,疾患特異的な抗ミトコンドリア抗体が陽性であれば本疾患を鑑別すべきである.近年では,肝機能障害の二次精査などを契機にPBC の診断に至る無症候性患者が増えており,ウルソデオキシコール酸治療への反応が良好な症例は長年無症状で経過し予後も良い.しかしながら,一部の症例ではウルソデオキシコール酸治療に抵抗性を示し,肝硬変,肝不全,時には肝細胞癌の合併へ病態進展することがある.したがって,PBC の診療においては,非侵襲的なバイオマーカーを用いて,病期診断や病態進展を予測することは臨床上有益である.本稿では,PBC の疫学と診断について,また,病態診断に有用と思われる新規バイオマーカーについて述べる.
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