特集 肝と免疫2019
1.総論―Lymphoid organ としての肝臓
原田 憲一
1
1金沢大学医薬保健研究域医学系人体病理学
キーワード:
肝
,
免疫寛容
,
自然免疫
,
獲得免疫
,
免疫担当細胞
Keyword:
肝
,
免疫寛容
,
自然免疫
,
獲得免疫
,
免疫担当細胞
pp.471-480
発行日 2019年4月20日
Published Date 2019/4/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000733
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肝臓はlymphoid liver とも称され,免疫臓器の一つとして全身の免疫機能を担っている.解剖学的に肝臓は肝動脈と門脈を介して全身循環および腸管経由の血流を受け,門脈からは食物抗原や腸内細菌等のpathogen‒associatedmolecular pattern (PAMP)の曝露を受ける.抗原を含む肝血流は類洞内へと流入し,Kupffer 細胞,リンパ球,NK/NKT 細胞,樹状細胞などの免疫担当細胞への応答を示すものの,生理的な状態では免疫寛容な臓器として維持されている.この寛容の破綻は外来抗原さらには肝細胞や胆管細胞由来の自己抗原に対する制御不可能な免疫応答を引き起こし,自己免疫性肝炎や原発性胆汁性胆管炎などの肝臓特異的な疾患を形成する.
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