特集 肝と免疫2019
巻頭言
滝川 一
1
1帝京大学医療技術学部
pp.469-470
発行日 2019年4月20日
Published Date 2019/4/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000732
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肝臓は全身の免疫反応を調節する免疫臓器としての役割も有している.消化管で吸収された細菌成分や食事性抗原は門脈を経て肝臓に至ることから,肝臓では異物のバリアーとして自然免疫が発達している.その一方で,肝臓では免疫寛容が誘導されており,生体の恒常性が保たれている.肝疾患の病態の多くに,免疫学的機序が係わっていることが知られている.免疫異常が病態に密接に係わる自己免疫性肝疾患としては,自己免疫性肝炎(AIH),原発性胆汁性胆管炎(PBC)のほか,原発性硬化性胆管炎(PSC)やIgG4 関連硬化性胆管炎(IgG4‒SC)が知られている.また,IgG4 関連疾患のなかにはIgG4関連自己免疫性肝炎や,IgG4 関連疾患肝疾患の存在も知られている.PBC については,長年用いられた原発性胆汁性肝硬変という多くの患者に不安を与えてきた名称が,欧米の改訂に伴って,わが国でも変更された.
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