特集 肝線維化ー診断を超えて
巻頭言
佐々木 裕
1
1熊本大学大学院生命科学研究部消化器内科学
pp.1585-1586
発行日 2018年11月20日
Published Date 2018/11/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000582
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肝線維化という病態が注目される理由は,肝線維化と肝発癌との密接な関連が臨床的に明らかであることにある.たとえば,肝細胞癌の80〜90%は硬変肝より発生し,HBs抗原陽性患者では,線維化マーカーであるFib4 indexが高いと発癌のリスクが約15倍に上昇し,エラストグラフィによる肝硬度測定値が12 kPa以上であれば4 〜13倍に発癌リスクが上昇するとされている.一方,HCV陽性慢性肝疾患でも線維化の進展に伴い,発癌率が上昇することは周知の事実である.それでは,はたして線維化そのものが肝発癌に機能的に関与するのか,それとも線維化は単に炎症の副次産物であり,炎症に伴う発癌には何ら関与していないのかという臨床的な疑問が浮かんでくる.
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