膵癌update
Ⅴ トピックス ①膵癌実験モデル
伊地知 秀明
1
1東京大学医学部附属病院病態栄養治療部・消化器内科
キーワード:
遺伝子改変モデル
,
オルガノイド
,
癌微小環境
,
Kras
Keyword:
遺伝子改変モデル
,
オルガノイド
,
癌微小環境
,
Kras
pp.934-940
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000417
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膵癌実験モデルとしては,従来,ヒト膵癌細胞株を用いたさまざまな実験が行われてきた.in vitroの実験系をはじめ,in vivoにおいても免疫不全マウスの皮下や膵臓への移植,脾臓への注入による肝転移モデル,また腹腔内注入による腹膜播種モデルなど,その簡便性から汎用されてきた.しかし,膵癌の実臨床との相違点も以前より指摘されてきた.とくに,細胞株を皮下や膵臓へ移植したモデルでは,臨床の膵癌の「豊富な間質・線維化を伴う腺癌」という組織学的特徴の再現が困難であった.
近年では,膵癌の臨床的な特徴をよく再現できるモデルとして,腫瘍の微小環境がインタクトなままに発癌する遺伝子改変モデルや,膵癌患者の腫瘍組織を免疫不全マウスに移植するpatient‒derived xenograft(PDX)モデル,また膵癌患者の腫瘍組織片から三次元構造体オルガノイドを樹立するモデルが用いられるようになってきた.ここでは,とくに遺伝子改変マウスの膵発癌モデルを中心に概説する.
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