膵癌update
Ⅴ トピックス ⑤高齢者膵癌の治療
庄 雅之
1
,
赤堀 宇広
1
,
長井 美奈子
1
,
西和田 敏
1
,
中村 広太
1
,
中川 顕志
1
1奈良県立医科大学消化器総合外科
キーワード:
膵癌
,
高齢者
,
手術
,
化学療法
,
frailty
Keyword:
膵癌
,
高齢者
,
手術
,
化学療法
,
frailty
pp.958-962
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000421
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高齢化社会の進展とともに,癌患者数は増加の一途をたどっている.膵癌罹患数も増加し,現在,癌関連死亡主因の一つとなっている.また近年,さまざまな癌腫で死亡率が低下している一方で,日本の膵癌による死亡数は欧米と同様に増加している.未だ手術が治癒の期待できる唯一の方法であるが,膵癌治療においてはさまざまな臨床課題が未解決のままである.なかでも,80歳を超す高齢者膵癌に対する適切な治療方針は未だ確立しておらず,治療適応や予後因子の解明は,日常診療においても重要な課題の一つである.また,化学療法においても,近年,いくつかの大規模臨床試験で膵癌予後に対するさまざまな新規化学療法の有用性を示す結果が報告された.しかしながら,高齢患者はそのような臨床試験の適格基準から除外されるか,適格であっても登録症例全体のなかでは少数例であることが多いため,高齢者膵癌における化学療法各々の治療効果は不明である.
本稿では80歳以上の高齢者膵癌に対する外科手術ならびに化学療法の現況を概説し,今後の展開に関して考察する.
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