特集 自己免疫性膵炎(AIP)
2 .病理からみた自己免疫性膵炎―その発生機序を含めて
能登原 憲司
1
1倉敷中央病院病理診断科
キーワード:
自己免疫性膵炎
,
IgG4関連疾患
,
膵炎
,
病理
Keyword:
自己免疫性膵炎
,
IgG4関連疾患
,
膵炎
,
病理
pp.157-163
発行日 2018年1月20日
Published Date 2018/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000224
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1 型自己免疫性膵炎(AIP)の膵腫大,腫瘤形成は,膵辺縁,膵管,小葉,血管,神経に形成された肥厚性,腫大性病変が集合してできたものである.高度の炎症細胞浸潤にもかかわらず組織障害の所見は軽微で,炎症のターゲットは不明である.高度の炎症細胞浸潤は一種のリンパ増殖性病変かもしれない.2 型AIP は外分泌膵の上皮を中心とする,好中球浸潤を伴う炎症反応である.上皮には変性,消失,再生といった炎症による一連の変化があり,膵管上皮,腺房細胞そのものが炎症のターゲットになっていると考えられる.この像はHelicobacter pylori胃炎や炎症性腸疾患などとも類似した非特異的なもので,病因の推測は困難であり,複数の病因による類似の組織反応を見ている可能性もある.
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