特集 腸内細菌と臨床
1 .腸内細菌と消化器疾患(6)腸内細菌と大腸がん
大島 茂
1
,
渡辺 守
1
1東京医科歯科大学医学部附属病院消化器内科
キーワード:
adenoma‒carcinoma sequence
,
Wnt/βカテニン
,
APC 遺伝子
,
ゲノム不安定性
,
免疫逃避機構
Keyword:
adenoma‒carcinoma sequence
,
Wnt/βカテニン
,
APC 遺伝子
,
ゲノム不安定性
,
免疫逃避機構
pp.1353-1357
発行日 2017年8月20日
Published Date 2017/8/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000102
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大腸がんにおける腸内細菌の役割は以前より着目されていた.さまざまな臨床研究・基礎研究により,腸内細菌が直接的に大腸がん発生に作用する機構と,免疫を介して間接的に大腸がん発生に作用する機構が判明してきている.たとえば,大腸菌群B2 pks 株は毒素を産生し宿主細胞のDNA 障害からゲノム不安定性を誘導し,がん化を生じさせると考えられている.F.nucleatum は直接的にWnt/βカテニン系を亢進させがん化に作用するとともに,間接的に免疫逃避機構を減弱させる.B. fragilis は毒素(BFT)を産生しWnt/βカテニン系を亢進させるとともに間接的にTh17 を介してがん化を誘導する.さらに,腸内細菌はがん治療,とくにがん免疫療法にも関与している知見が蓄積されつつある.
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