特集 腸内細菌と臨床
1 .腸内細菌と消化器疾患(2)腸内細菌と化学療法―クロストリジウムディフィチル感染症を中心に
岡 秀昭
1
1埼玉医科大学総合医療センター総合診療内科・感染症科
キーワード:
CDI
,
抗菌薬
,
化学療法
,
NAP/B1/027 株
,
糞便移植治療(FMT)
Keyword:
CDI
,
抗菌薬
,
化学療法
,
NAP/B1/027 株
,
糞便移植治療(FMT)
pp.1319-1324
発行日 2017年8月20日
Published Date 2017/8/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000098
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腸内細菌叢の乱れにより発症する感染症として,クロストリジウムディフィチル感染症(CDI)が代表的である.CDI は各種抗菌薬投与のみならず,制酸薬や化学療法薬もリスクとなるため注意が必要である.診断には便のCD 抗原とトキシンを組み合わせた検査が使用されるようになり感度が上昇したものの,結果の解釈には注意が必要である.治療はメトロニダゾールまたは重症ではバンコマイシン経口薬を使用するが,再発しやすい.再発に対しては海外で新薬fidaxomicin や抗体療法,糞便移植治療(fecal microbiota transplantation;FMT)のような新規の治療法も登場しており,エビデンスの構築が望まれる.CDI の発生を抑制するためには抗菌薬の適正使用と感染予防策の遵守が依然として望まれる.
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