特集 最新動向透析患者の呼吸器感染症
1.肺炎はグラデーション―透析患者の「市中肺炎」「医療・介護関連肺炎」のempiric therapyが始まるまで
平井 由児
1
1東京医科大学八王子医療センター感染症科
キーワード:
市中肺炎
,
医療・介護関連肺炎
,
院内肺炎
Keyword:
市中肺炎
,
医療・介護関連肺炎
,
院内肺炎
pp.1163-1167
発行日 2025年9月10日
Published Date 2025/9/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000003563
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
医療・介護関連肺炎は市中〜院内肺炎のグラデーションである.透析患者の医療曝露は個人により濃淡があり,起因菌や耐性菌リスクも異なる多彩な「肺炎」である.よって抗菌薬投与前の喀痰,血液培養による病原体の把握は適切な診断,予後の改善,不要な広域抗菌薬を回避し,抗菌薬適正使用にも寄与できる.市中肺炎では肺炎球菌を起因菌の軸とし,医療・介護関連肺炎では医療曝露や重症度に応じ緑膿菌やMRSAを含む薬剤耐性菌の関与が濃くなる.治療の原則はβラクタム系抗菌薬である.フルオロキノロン系抗菌薬は結核の存在をマスクし,そもそも結核の高リスク集団である透析患者には,十分な検討が必要である.

Copyright © 2025, Nihon Medical Center, Inc. All rights reserved.