特集 透析施設における感染症対策 2023
第Ⅱ章 感染予防各論 9 肺炎球菌 2)透析患者の肺炎―抗菌薬,その前に
平井 由児
1
1東京医科大学八王子医療センター感染症科
キーワード:
市中肺炎
,
院内肺炎
,
人工呼吸器関連肺炎
,
肺結核
Keyword:
市中肺炎
,
院内肺炎
,
人工呼吸器関連肺炎
,
肺結核
pp.895-902
発行日 2023年6月10日
Published Date 2023/6/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000002633
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・透析患者は耐性菌の保菌率が高く,抗菌薬開始前の喀痰培養・血液培養で得られる情報はきわめて重要である.米国腎臓病学会(ASN)は,外来維持透析においても抗菌薬投与前に2セット以上の血液培養採取を推奨している.
・ペニシリン(βラクタム剤)の選択が原則であり,マクロライド系抗菌薬単剤による市中肺炎(非定形肺炎を除く)の治療は推奨されない.
・メタアナリシスでは市中肺炎でのニューキノロン系抗菌薬の先行投与は,合併する結核の診断・治療開始が19日遅れるとされている.
・高齢者や施設入居者は耐性菌保菌率が高いものの,末期や老衰などでは個人の意思やQOLを考慮した治療・ケアを主体とし,過去の耐性菌保菌に依存した広域抗菌薬投与はルーチンに行われるべきではない.
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